Thursday, 25 January 2007

Believe In Angels?


レット症候群の女の子たちの事を(まれに男の子をいるようですが)"Silent Angels"と呼びます。 重い言語障害を伴う神経疾患で ことばを話せないその子たちは、語りかけるとっても表情豊かな目を持っているようです。ニコニコとハッピーな子が多いとも聞きます。

私の"Silent Angel"はもちろん今まで一言もことばを話した事はありません。多分カイのように"mummy"と私を呼んでくれる事も"I love you"と愛情を表現してくれる事もないでしょう。でも彼女の笑顔はほんとにいろんな事を私に伝えてくれます。視線を合わさず、笑顔もあまり見せてくれなかった一時期はほんとにつらかった。もしかしたら一生この子は私のこと母親だってわからずに生きていくんじゃないかって思いました。というより、私はこれから一生母親だって気づいてもらえずにこの子と生きていくのかって。そんなとき、口癖のように言っていたのが、“ピアが私の目を見てくれたらいい。笑ってくれたらいい。”ほんとにそれだけが私の望みでした。ピアがまた私見て笑顔を見せてくれるようになった半年くらい前に、私の中から怒りや悲しみのような感情が消えていったような気がします。それほどピアの笑顔はすごい。どんなつらい事も醜い考えも冷えた心も吹き飛ばす、そんな笑顔なんです。そして、たまに見せてくれる泣き顔は、本当に悲しそうでつらそうで。何が悲しいのか、何が欲しいのかわかってあげられない事がつらいけれども、一生懸命それを伝えようとしているピアが愛しくてたまらなくなります。疲れた時眠たい時に、いきなり大笑いする事もあります。涙を流しながら何がおかしいのかケラケラ笑い続ける。私も一緒になって大笑いで涙が出たりします。突然目覚めた時や起こされた時のビックリ顔!大きく目を見開いて、小さな口をぽっかり開けて、体をカチコチにさせて“びっくり”ってことばをかたちにしたらきっとこうなんだろうなって感じ。嫌な感触のものを触った時や食べたとき、例えば炭酸飲料を口にした時なんかに見せてくれる“不快”の表情も傑作です。怒った顔、甘えた顔・・・他にもいろんな表情を見せてくれるようになりました。っていうかきっと私がどんな小さなピアの表情も読み取れるようになってきたんではないかと思います。

今回シドニーに行った事は、今まで私がピアの事でした事数々の中で一番いいことだったんじゃないかな。ピアのためにじゃなくて、私のために。レット症候群じゃないかと思いはじめたのはまだピアの発達が遅れてるのでは?と医者に通いだして間もなく。そして医者に話して検査をしてもらったのが去年の7月。結果を待つ事3ヶ月。その結果が確定できず・・・。やっとやっと出た答えです。まずはその事にほっとしました。
もうひとつは、私が持って行ったいろんな書類、ピアの療育に関するレポートなどを見た先生に、“できるかぎりの事すべてやっている”って言ってもらった事。こんなにうれしいことはなかったです。あまり成果のでない毎日の中、これでいいんだろうか、ピアに最高のできるかぎりの事をしてあげれてるんだろうか?って不安になるんですよね。こうやって誰かに、特に先生に褒めてもらったのはほんとにうれしかった。なんだかご褒美をもらったような気分でした。

診断が出たとはいえ、これからのピアがどうなるのかわからない状況は変わらないと言えば何も変わりません。歩けるようになるんでしょうか?と聞いても、やっぱり今まで聞き飽きるほど聞いた"Never say Never"ということば。でも遅くになってから歩くような子もいるとの事なので、これはまた頑張る元気の素になりました。そして気になる脊柱即湾(これもレット症候群についてくるもの)。いくら運動させてもなる時はなるとも言われましたけど、でもできるだけの事はしてあげればいい。あと80%のレット症候群の子にてんかんの発作が起こるってこと。早くから始まる子もいれば、3−4歳になってはじめて発作が起こる場合もあるそうです。こうやって私も知識をつけれるし準備もできる。そんな意味でも答えが出たのはよかったと思います。

今後の療育に関しても良い結果だったのではと思います。ピアの療育に携わるすべてのセラピストの先生たちにとっても、今後どのように進めていくかの方向付けができるだろうし、そこからまた私たち家族にも適切な運動法や知識やアドバイスを与えてくれることができるようになるのでは、と期待しています。そしてシドニーのクリニックでは年に一度、レット症候群マネージメントクリニックとして、専門科医、理学療法士(Physiotherapist)、作業療法士(Occupational Therapist)、言語療法士(Speech & Language Pathologist)、歯科医、栄養士、音楽療法士に見てもらう事ができ、私たちはまた6月か7月にシドニーに行く事になりそうです。その際にはそこで会う先生やセラピストが、こちらのピアの先生やセラピストと連絡を取ってくれるとの事。とても楽しみにしています。特に障害児に慣れている歯医者さんに見てもらえるのはうれしいな。カイは2歳過ぎた頃から定期的に歯医者連れてってるけど、ピアは普通の歯医者さんじゃまず無理。どうしようと悩んでたところでしたから。

とにかく私は前向きです。
ピアも頑張ってる、周りのみんなも助けてくれてる、だから毎日私も頑張ります。
“一生懸命”は好きです。私のエンジェルと一緒だもの、どんな事だってたのしくないわけがない!

今日のLO: 随分前に作ったレイアウトなんですけれど、今日の気分にぴったりだったのでアップします。ちょうど一年ほど前のピア。私の大好きな笑顔です。Quick Pageを使った簡単なLOだけど、お気に入りのひとつです。product used: Believe in Angels Quick Page by Anna Aspnes

6 comments:

Anonymous said...

当然だけど、いつもニコニコのピアちゃんの
写真ばかりだから、泣いているピアちゃんは
創造できないですね。
歯医者さんの件は、大丈夫だと思いますよ。
うちも最初は、安全のために網でグルグルにされて、それだけで悲しかったけど、今では先生のお話をわかっているみたい?
母のときよりも、おとなしく口を開けて歯磨きをしています。母も子も、信頼できる先生と出会えるといいですよね。

Anonymous said...

言い直します、網のことは最初だけです。
先生が上手にお話をしてくれるから、もうこわがりません。先生は障害のある子の治療の経験もある方ですが、そこは近所で家族もかかっています。
言葉の話せない子供は、検診の意味でも様々な病院にかかることになるので、近いのは助かります。

bunnynose said...

Piaちゃんにとってはこの豊かな表情が言葉なのでしょうね。本当に素敵な笑顔です。検査の結果がはっきりと診断されてまずは一つピリオドですね。これからの対応やぴあちゃんや家族にとってなにができるのか、もう少しまとを絞って考えられますね。って書いてるとなんだか人事だと思ってと思われそうな書き方しかできないのですが。never say neverというお医者さんの言葉、とても前向きで素敵な言葉ですね。

Anonymous said...

Wallabyさんは前向きで本当に立派!
尊敬しちゃいます。
結果がはっきりと出たことは残念でもあるんだろうけど
もやもやの暗闇から脱出できたような感じで、そういう意味では良かったことなのかな~。
私も「never say never」、とっても素敵な言葉だと思う!
ポジティブな姿勢で接していたいもんね。
「ガンが治ってた」とか奇跡みたいな話ってたまに聞くしね。

kpad said...

>h.eさん

近所でも障害児に慣れているらしい歯医者さん見つけました。甘いものに目のないピアなので、気をつけてあげないと!連れて行ってみます。

>bunnynoseさん

ほんとにそうなんです。診断が出て以来、いろんなことを前向きに考えています。いろいろ先のことを考えれるようになったのはほんとによかったです。いっぱいピアにこんな笑顔あげたいです。

>カオリンさん

いえいえ、そんなお褒めいただけるようなもんではありません(笑)。でもありがとう!
いつかレット症候群の治療法が見つかることを祈っています。

Anonymous said...

藤沢敦子と申します。
友人の御姫様が昨日、養護学校小学部卒業のレット症候群で、肺炎で入院していた際に「胃ろう・噴門」手術を勧められたそうです。

誤飲やチューブ食に比べ;
効率よく栄養摂取というもの
胃ろうで必要栄養が短時間に摂取可能、
と理解していらっしゃいます。

手術のリスク(日本で遅れている部分)に関して、心配は尽きないと思いました。

教えていただければ幸いです。